アルバムの中に…

とてもショックで悲しいことがあり、
今日は帰宅してすぐに、22年前のアルバムを開きました。

アメリカ生活の最後の一月、私はTREC AMERICAという、
バンに乗ってキャンプでアメリカ各地をめぐるツアーに参加しました。

1990年5月1日、
ニューヨークのとあるホテルで参加者が顔合わせをし、
夕食をともにしながらの説明会がツアーのスタートでした。

私のグループの参加者は世界各国から11人。
二人の友達同士の参加以外は、全員が一人での参加でした。

私が申し込んだのはニューヨークをスタートして、
南部を通ってロサンジェルスに向かう1ヶ月のコース。
でも、私を含む3人以外は、さらに北部を通って
ニューヨークに戻る2ヶ月のコースでした。

「テントは二人用なので、ペアを組んでください。」と言われ、
参加者の女性の中で、英語がネイティヴでない私とスイスのキャサリンが
なんとなく残り物同士でペアになりました。

その夜のホテルから、私とキャサリンのルームシェアのスタートです。
それから、テントだけでなく、ツアー中の行動もずっとキャサリンと一緒でした。

トレックリーダー(ツアーコンダクター)の指示が分からない時、
私がいつも聞いていた相手がフィンランドのミッキという男性でした。
彼も英語はネイティヴではありませんが、数ヶ国語が話せる人でした。

最初はいろんな人に聞いていましたが、彼はいつも穏やかで、
最終的に一番聞きやすい相手だったのです。
きっとキャサリンもそうだったのでしょう。
そして、3人で話をすることが増えてきました。

ツアーがスタートして2週間、ニューオリンズではホテル泊。
キャサリンは外でミッキと話していて、なかなか部屋に戻ってきません。

ベッドから、カーテンの僅かな隙間に目をやると、
ちょうど二人がキスをしているのが見えました。
月に照らされた映画のワンシーンのような光景を、
今でもはっきり覚えています。

二人の気持ちはなんとなくわかっていましたが、
その日を境に、二人の仲はメンバー内にも公になり、
ずっと離れず行動するようになりました。

お邪魔虫ながら、私もずっと一緒で、
三人は‘We are typical stupid tourist(典型的なアホな旅行者)’を自称し
観光もイベントも心から楽しみました。

右端で私と肩を組むのがキャサリン、二人の後ろに立っているのがミッキ。
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ミッキは私と同じく一月でツアーを去る予定だったのですが、
勤め先に電話を入れ、さらに一月休暇を延期してもらったのです。

「『ある女性と出会ったから』と正直に言った」と。
「そんな理由で休暇を延ばしてもらえるなんて信じられない」
とキャサリン自身がかなり驚いていました。

私がツアーを去る時、トレックリーダーは
二人がテントシェアをすることを提案し、
私というお邪魔虫がいない残り一月を満喫できることに。

でも、「メンバーも入れ変わり雰囲気も悪くなって、
あなたがいなくなって楽しくなくなった」
と、優しいキャサリン絵はがきにしたためてくれました。

3年ほど経って二人は結婚してスイスで暮らし始めました。
1995年に私が遊びに行った時はまだ二人でしたが、
その後3人の子供が産まれました。

他のメンバーも数年は連絡を取っていたのですが、
結局現在に至るまで連絡を取っているのは彼らだけです。

先日、年明けにもいつものように、
クリスマスプレゼントのお礼のメールが来ました。

でもそれは同時に、ミッキが病気で、
しかも重篤である事を知らされるものでした。

単に英語でメールを書くだけでもすんなりとは行かないのに、
どんな言葉を選んで書けばいいのか…と、
気がつけば一週間近く返信できないままでした。

やっと返信したら、すぐにたった一行の返信が来ました。

ミッキが彼自身の誕生日に逝ってしまったというものでした。

たった一行のメールに、彼女は3箇所ものタイプミスをしていました。
かなり動揺しているのが分かります。

「家族5人で日本に行くのはお金がかかりすぎるから、あなたがスイスに来て」
「日本へは子供が大きくなってから、ゆっくり夫婦二人で来ればいいよ」
どちらもいずれは実現すると思っていました。

遠い空の下で、今何もできない自分がもどかしい。
花一輪さえ届けられないこの距離が恨めしい。

私に何ができるのか、ずっと考えています。
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by odaidoco-labo | 2012-01-21 03:35 | 徒然 | Comments(0)
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管理人:ちゃとび  多趣味だけど、何一つモノにならない器用貧乏が、大阪北摂から、暮らしの手作りと日常を綴ります。


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